【MotoGP】天候を味方に勝ったマルケス、慎重すぎたロッシ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 第13戦・サンマリノGPは、レース内容、そしてシーズンの今後の戦いにもたらす影響――という意味の双方で、近年まれに見る波乱万丈の展開になった。9月13日の日曜午後2時にスタートし、全28周回で争われた決勝は、難しいコンディションを完璧に読み切ったかのように最適な戦略で乗り切ったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が優勝。一方、チャンピオンシップをリードするバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、会場を埋め尽くした地元ファンの期待に応えきれず5位でフィニッシュ。ロッシを僅差で追うホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、今季初の転倒リタイアという、彼にしては珍しいノーポイントレースに終わった。

サンマリノGPで今季4勝目をマークしたマルク・マルケス(中央)サンマリノGPで今季4勝目をマークしたマルク・マルケス(中央) アドリア海に面したイタリア屈指の保養地、リミニ海岸から数キロ内陸側に位置する「ミザノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリ」では、例年ならば温かい陽射しと穏やかな気象条件のなかでレースが行なわれることが多い。今年も金曜から土曜にかけて、理想的といっていい晴れのドライコンディションでフリープラクティスと予選が行なわれた。

 そこまでのパフォーマンスでは、ロレンソが一頭地を抜く速さを見せており、今回の優勝候補最右翼。彼に対し、自宅から10キロという文字どおりのホームコースで、会場を埋め尽くすファンの期待を一身に受けるロッシがどこまで肉迫するか。また、このふたりにマルケスが乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負を仕掛けるであろうこともまた明らかで、この3選手が日曜の決勝レースではたしてどんな戦いを見せるか、ということが予選終了段階での最大の関心事だった。

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