【F1】ホンダ総責任者が語る「ストレートで伸びない3つの理由」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 夏休み期間での開発でトークン(※)を使い、改良を施したかったディプロイ面だったが、残念ながら間に合わずに目標の達成はできていない。多くのファンの期待を裏切ってしまったことは事実だが、3週間後に近づいて来た日本GPまでに新規を投入することはできず、現状のハードウェアのままで戦わざるを得ない。

※パワーユニットの信頼性に問題があった場合、FIAに認められれば改良が許されるが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし、「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。

「鈴鹿で新規に入れるとペナルティを科されてしまいますし、グリッド後退となると、待ってくれているファンのみなさんにも申し訳ないので、トークンを使う予定はありません。今までやってきたことを全部まとめて、それぞれの領域でその集大成を入れて戦いたいと思っています。(ハードウェアの変更ができなくても制御面で)ディプロイの時間を少しでも長くできるようにあらゆる手立てを打ったり、燃料の開発もできるでしょうし、とにかく前に進むしかないと思っています。ここまで12戦戦ってきて、自分たちに足りていることも、足りていないこともわかっていますから、今までのすべてをつぎ込んで、この『バージョン3』のパワーユニットをしっかりと使い切りたいと思っています」

 苦しい現状のなかでも、開発とレース運営の最前線に立つスタッフたちは、全力で戦っている――。その努力を否定する権利など、誰にもないはずだ。

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