【F1】ホンダ総責任者が語った「後半戦はすごい」の根拠 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 事実、18位に沈んだバトンは深刻なリアのグリップ不足を訴えていた。

「すごく酷い状態だよ。何かがおかしい。マシンの挙動が予測できないんだ」

 たしかに、開幕当初のパワーユニットは非力で問題も散発していたが、パワーユニットとしては、Q2に進出していたスペインGPや、入賞したモナコGPと同等かそれ以上のものに仕上がってきている。にもかかわらず、ここに来て順位が下がるのは、新型空力パッケージを使いこなせていないからに他ならない。

 繰り返すが、事実は先述のブリエの発言とは異なっているのだ。

「エンジニア同士の話し合いの場では、どこが悪いかはお互いにわかっているんです。我々もパワーが十分でないのはわかっているし、マクラーレン側も自分たちの足りない部分はわかっている。だからこそ、空力の開発も続けているわけです。だから開発という点ではまったく問題はありません。でも、外に向けてあんなふうに言われてしまっては、一生懸命頑張っているウチのスタッフたちの立場がありません」

 新井は、マクラーレンを批難するようなことは口にすまいとしながらも、悔しそうな表情でそう言った。そういう思いが強くなったのは、自分たちのパワーユニットの熟成が進んできたという手応えがあるからだろう。

 後ろから2列目のグリッドからスタートしたマクラーレン・ホンダのイギリスGPは、1周目の多重クラッシュに巻き込まれてアロンソがバトンに接触。そのままバトンがリタイアするという最悪の幕開けになった。土曜の予選後、「慣れない後方からのスタートでは1周目の混乱をすり抜けるのも簡単なことじゃない」とバトンが話していた通りの展開になってしまった。

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