小林可夢偉が語る「F1と日本のスーパーフォーミュラの違い」 (3ページ目)
また、F1と違ってタイヤウォーマーを使わないSFならではの難しさもある。
「F1ではウォーマー頼りでタイヤを温められていたんですけど、(ウォーマーがない)スーパーフォーミュラでは違う感覚なんです。グリップのピークをつかむのが難しいとかじゃなくて、ピークを発生させるのが難しい。コツがあるみたいなんです。それが何なのか、まだ分かってない状況ですね。路面温度が変わったときのバランスの変化とかは、まだ経験が十分じゃないし、暑いコンディションは経験してないですし」
はっきりと言葉にはしないが、可夢偉は我々が想像するよりも未知なことだらけのまま開幕戦に臨もうとしている。だからこそ「甘くない」と言うし、全戦全勝など「夢のような話」と言う。それは自信のなさの表れではなく、自身が置かれた状況をよく理解しているということだ。
それでも、昨年末のルーキーテストではトップタイムを連発し、3月のテストでも常に上位に名を連ねた。可夢偉の速さがSFに参戦するドライバーの中でトップクラスにあることは間違いない。問題はタイヤを理解するための時間が必要ということだ。
「練習時間が長いと、あそこ(トップタイム近く)まで持って行けるんですけど、状況が変わってくるとまだ対応力がないなって思います。学ばなきゃならいないことはたくさんあります」
ただし、未知数というのはネガティブな意味だけではなく、どれだけ伸びるかも未知数であるというポジティブな意味もある。シーズンの経過とともに可夢偉の適応能力が磨かれていくはずだ。
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