【F1】中国GP完走で前進も、ホンダ総責任者が喜べないワケ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 その甲斐あって、金曜には上々の滑り出しを見せ、完璧なタイムアタックでなかったにもかかわらず、FP-1(フリー走行1)では13位と17位、FP-2(フリー走行2)では10位と12位のタイムを記録した。トラブルフリーで、チームとしても予定どおりの走行プランをこなすことができたという。

「外からは中で何が起きているのか理解するのは難しいだろうけど、中にいれば確実に進歩していることが感じられるし、チームはとても良い雰囲気だ。レースごとに大きく進歩していける、エキサイティングな状況だからね」(ジェンソン・バトン)

 しかし、土曜日の走行が始まってすぐに異変は起きた。

 FP-3開始直後にコースインしたフェルナンド・アロンソのマシンから白煙が上がり、異変を感じ取ったアロンソがすぐにコースサイドに停めた。パワーユニット本体に大きなダメージを負う前に止めた判断は賢明だったが、チームはマシンの修復作業に追われることになった。

 ホンダは点火システムの不具合としているが、作業の様子を見る限り点火プラグの交換を行なっており、何らかの熱負荷によってプラグが溶解した可能性は否定できなかった。いずれにしても、FP-3以降はエンジンの音がバラつき、金曜のようなパフォーマンスを発揮できなくなったことは確かだった。

「ドライバーは、マクラーレンの方がコーナリングで速いと言っているし、GPSデータ(どのマシンがコース上のどこをどのくらいの速度で走行しているかを表示する)を分析してもそれは確か。ここのターン7のような空力が効くコーナーでは彼らは速い。遅いのはエンジンパワーが乏しくストレートが伸びないためだ」

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