2015.04.14

【F1】中国GP完走で前進も、ホンダ総責任者が喜べないワケ

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2015年シーズン第3戦の中国GPが終わり、初の2台完走にマクラーレン・ホンダのスタッフたちは安堵の表情を見せた。開幕戦オーストラリアGPは、1台が完走できただけで御の字。第2戦のマレーシアGPでは実力を発揮する前に2台ともリタイア。そして、中国GPは現状のパワーユニットの性能をほぼすべて使い切って完走を果たした。

中国GPで2台ともに完走したマクラーレン・ホンダ しかし、ホンダの新井康久F1総責任者は険しい表情を崩さなかった。

「完走くらいで喜んでいる場合ではない」

 新井の胸に重くのしかかっていたのは、2台が完走したからこそあらためて目の前に突き付けられた現実だった。マクラーレン・ホンダは、中団グループのライバルとほとんど戦うことができず、1周遅れの12位・13位フィニッシュ(ジェンソン・バトンはペナルティで14位に降格)に終わった。

「今の実力はこの辺にあると言えると思います。だからこそ、他のチームとの差をはっきりと突きつけられた。周りから見れば2台完走してよかったねという感じかもしれませんが、まだまだと感じています」

 そう言って新井は口を真一文字に閉じた。

 パワーユニットのトラブルの予兆を発見し、壊れる前にリタイアを決断したマレーシアGPの後、ホンダはターボチャージャーと信頼性確保のための改良をFIAに申請し、それが認められて中国GPへと持ち込んできた。さらに、パワーユニットの制御を司(つかさど)るデータセットの面でも、ここまでの2戦よりアグレッシブな使い方を可能にしてきた。