【F1】どこが優位?開幕前テストから読み解く各チームの現状 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 また、8台が出揃った2015年型マシンを大きくふたつに分けるとすれば、新規定によってより低く下げなければならなくなったノーズがカギになる。

 ひとつは昨年と同じくノーズ下にできるだけ大きな空間を空けようという従来どおりの空力処理のマシン。もうひとつはノーズ先端を低くしてマシン全体でダウンフォースを獲得しようという新たな空力フィロソフィを持ったマシンだ。

 後者の手法を採り、最も大胆なマシン作りをしてきたのがマクラーレン・ホンダだ。リアエンドを極めてコンパクトに絞り込み、膨大なエアフローをリアへと流し込む。そのためにホンダのパワーユニットRA615Hも斬新な手法で極めてコンパクトに設計され、レイアウトされている。

慎重に周回を重ねたマクラーレン・ホンダ慎重に周回を重ねたマクラーレン・ホンダ マクラーレンは、ホンダとのタッグ初年度だからといってコンサバティブに振ることなく、最初から昨年王者メルセデスAMGを上回ることをターゲットにアグレッシブなアプローチをしてきた。その姿勢に、彼らの本気が感じられる。

 車体側も従来のマクラーレン車両とは大きく異なり、パワーユニットも昨年のアブダビ合同テストで走らせたものとはまったくの別物。それゆえ、ヘレス合同テストは「システムチェックのためのテスト」と割り切り、最初は3周ほどの走行、その後は5、6周の走行で、空力とパワーユニットが想定どおりの動作をしているかを確認するデータ収集が行なわれた。

 前半の2日間はコントロール電子系のトラブルで満足に走ることができなかったが、後半の2日間は通常のテスト走行だった。データ収集のための走行であるため、フルスピードで走ってはいないが、3日目のセミウエットコンディションでは他チームとほぼ同じタイムでフェルナンド・アロンソが走行していた。

「10周以上の連続走行でも冷却面の問題はまったくなく、車体の設計コンセプトとして間違っていないことが確認できた」(レーシングディレクターのエリック・ブリエ)

 3日目は冷却水の水漏れ、4日目は燃焼の異常データ発見によって、慎重を期して走行を打ちきったが、得たものは非常に大きかったとホンダの新井康弘F1総責任者は語る。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る