2014.11.28

【F1】重圧との戦い。ハミルトン、王座獲得の舞台裏

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2014年の王者が決まる最終戦アブダビGP決勝の朝、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、まだ夜も明け切らない午前5時過ぎにベッドから抜け出した。

 すでに王座獲得経験があり(2008年)、今シーズンをリードしてきた彼でさえ、極度の緊張のため熟睡することなく朝を迎えてしまった。それが「F1の世界チャンピオンを争う重圧」というものだった。
2014年シーズンの王座を獲得したメルセデスAMGのルイス・ハミルトン「木曜にアビダビに来た時は本当に良い気分でリラックスしていたし、フリー走行もうまくいった。でも、予選が少しうまくいかなくて、プレッシャーが増したんだ。レースに集中しようとしたけど、昨夜は眠れなかったよ……」

 ハミルトンは襲いかかるプレッシャーを跳ねのけるように、ランニングをしたりマッサージを受けたりしてサーキットに向かうまでの時間を過ごした。

 9月のイタリアGPから破竹の5連勝を挙げ、後半戦に入ってからというものチャンピオン争いの流れはハミルトンに傾いていた。USGPでは、コース上で優勝争いを続けていた僚友のニコ・ロズベルグを抜き去り、雌雄は決したかに思えた。事実、後半戦のハミルトンは驚くほどリラックスした様子で「優勝することだけを考えて」レースに臨み、それを現実のものにし続けてきた。

 しかし、最終戦を前にしたブラジルGPで様相は一転した。

 ロズベルグがオースティン(USGP)の屈辱的敗北から立ち直り、レースウィーク全体を通して完璧なパフォーマンスを発揮し、優勝をもぎ取ったからだ。