【F1】強さは本物。ウイリアムズ、連続表彰台の要因とは (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 フロントロウを独占したオーストリアGPでは、ウイリアムズはメルセデスAMGと無理に戦うことは考えず、彼らに優勝を明け渡して手堅く3位表彰台を確保することだけに集中した。続くイギリスGPでも淡々と自分たちのレースをした結果、2位表彰台が転がり込んできた。

 しかし、ドイツGPはハミルトンとの激しいバトルになった。

 最も柔らかい2スペックが持ち込まれたピレリタイヤは、中高速で右に曲がり込む最終コーナーで左のフロントタイヤが傷む。表面がささくれ、摩耗が激しく進むのだ。多くのドライバーがこの症状に苦しみ、ペースの低下やピットストップ計画の変更を余儀なくされていた。

 レース終盤になって「バルテリ、君から見たタイヤの状況を教えてくれ」というレースエンジニアからの無線に対して、ボッタスは次のように答えている。

「ちょっと苦しいから、最後まで保たせることは簡単じゃないと思う。プッシュするのは難しいと思う」

 エンジニアからは何度も「このタイヤを最後まで保たせろ」と指示が飛ぶ。タイヤをいたわりながら、それでも加速重視のエンジンモードとオーバーテイクボタンの効果的な使用で、ボッタスはハミルトンを抑えきって2位表彰台を手に入れたのだ。

 ボッタスは3戦連続の表彰台獲得となり、ウイリアムズはフェラーリを抜いてコンストラクターズランキング3位に浮上した。

 高速サーキットでウイリアムズが速いことは誰もが知るところであり、開幕戦やバーレーンで見せたようなタイヤの性能低下の大きさ、レース戦略の拙さは、確実にもう過去のものとなっている。マシンの改良が進んだこともあるが、以前からウイリアムズが苦手としていたタイヤの扱い方とレース運営という面が改善された点が大きい。

 その背景には、4月からチームに加入したロブ・スメドリー(ビークルパフォーマンス責任者)の功績が大きいと言っていいだろう。

「あらゆる細部に目を光らせ、あらゆる箇所を改善し続けていくこと。それが勝てるクルマを作るための方法だ」

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