【F1】売却が噂されるケータハムで、可夢偉が語った本音 (3ページ目)
「僕自身は走るのが仕事やから、そこを考えても何ができるわけでもないし、そこは彼ら(経営陣)の仕事なんで、僕はあんまり興味ないですよ。それよりも、どうやったらクルマが速くなるかっていう方に労力を使いたい」
この間にもチームはウェアを刷新し、テストの準備を進め、10月のロシアGP開催予定地の視察も行なっていた。周囲で何が起ころうと、グランプリは目まぐるしいスピードで前に進んでいく。チームも前に進み続けるしかない。可夢偉も、前しか見ていなかった。
「僕は単純にレースがしたいっていうだけです。もう3戦もまともにレースできてないですからね。そろそろまともにレースしたいなっていうのがありますね。今はチームにとってもツラい時期ですよ、クルマ的にも精神的にも。これをどうやって立て直すか……」
ケータハムCT05が苦手とする高速コーナーが少ないレッドブルリンクでは、ライバルに対してなんとか太刀打ちできそうだった。スタートからマルシアを追いかけ、10周目に可夢偉はバックストレートでDRS(Drag Reduction System:ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制 システム)を使って前を行くマルシアのジュール・ビアンキを抜き去った。
「うん、普通に抜いたんです」
可夢偉にとって初のサーキットだったオーストリアGPの結果は16位完走 可夢偉は事も無げに言う。だが、このレッドブルリンクではケータハムのマシンもそれだけのレベルで戦えていたということだ。トップ集団が追い付いてきたレース中盤からは、狭く短いコースで彼らに道を譲るためにミラーばかりを見る走りを強いられた。そしてレース終盤を前に、ケータハムは可夢偉の戦略変更を決断した。
「2ストップ戦略の予定だったんですけど、『あれ? えらいスティントが長いなぁ』って思って『あと何周?』って聞いたら『あと15周』って言われて、『最後までやん!』みたいな(苦笑)。その瞬間『こらあかんわ』って思いましたよ」
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