2014.05.21

新時代のF1で勝つために、ホンダが今考えていること

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

5月特集 F1 セナから20年後の世界
 アイルトン・セナがマクラーレン・ホンダで数々の勝利を重ねたあの頃から20年以上が経過した今、ホンダは新たな挑戦を開始した。世界中のファンが注視している第4期となる今回のホンダF1活動の現状は、どうなっているのだろうか。

■ホンダのF1活動
第1期 1962年~68年
第2期 1983年~92年
第3期 2000年~2008年

 2013年5月16日にホンダがF1復帰を正式発表してから1年が経った。すでにポイント・オブ・ノーリターン、つまり「引き返すならここまで」という時点を過ぎ、ホンダは2015年3月の開幕に向けて滑走路を全力で疾走している。そうしなければ、ホンダはF1という世界で羽ばたくことはできない。ホンダに残された10カ月という時間は、決して長くはないのだ。

 ホンダのF1プロジェクト総責任者である新井康久氏(本田技術研究所・専務執行役員)は、年明けのヘレス合同テストからF1を現地視察しながらライバルメーカーたちの進歩の度合いを鋭く見詰め、自分たちの開発に対して厳しい目を投げかけている。

ホンダF1プロジェクト総責任者の新井康久 栃木県さくら市にある本田技術研究所「HRD Sakura」のテストベンチ(回路の動作などを検証する環境)では、昨年の秋に火が入り一般にもそのサウンドが公開された”バージョン1”に次いで制作された”バージョン2”のターボエンジンが回っている。

「このバージョン2できちんと不具合を出し切って、あと1、2回バージョンアップをします。MGU-H (Motor Generator Unit - Heat/排気ガスから熱エネルギーを回生する装置)など各コンポーネントはまだ個別にベンチテストを行なっている状態です」

 まだ最終的な仕様は絞り込んではおらず、さまざまな形態を検討しているという。秋口におおよその”モノ”が完成し、そこから最終的な仕様を詰めていくことになると新井氏は言う。

「図面上のレイアウトを夏の終わりぐらいまでに細かくまとめて、秋口くらいから詳細の詰めをやります。極めて複雑なパワーユニットですし、出力も回転数も市販車とはレベルが違う。電気系、つまりモーター関係の開発にも苦労しています。しかし最も難しいのは、年間4基という制約を前に、どのくらい攻めて作ればいいのか、それが手探りだということです」