【F1】チーム代表交代。不振のフェラーリが反撃開始! (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「北米支社長として昨年は22週もサーキットで過ごしたし、デイトナ24時間レースも3度訪れた。なにより私はレースを愛している」

 だからこそ彼は、「F1が非常に特殊な文化であることも理解している」と語り、中国GPで急いで何らかのアクションを取ることはせず、まずはグランプリをその目で見て学び、自分が成すべきことを見極めようとしている。これまでビジネスの世界で培ってきた「さまざまな国籍の人材を集め、いくつものチームを構築してきた」という彼の経験が、この特殊な世界でどのように生かせるのかを考えている。

 その語り口からは、これまでの"レース屋"然としたフェラーリの首脳陣とは異なる印象を受ける。フェラーリにとって最も大切な2大市場と位置づけられている日本とアメリカを統括してきたという事実が、その手腕がいかに高く評価されているかを物語っている。

マティアッチ新体制で名門フェラーリの復権はなるか photo by Yoneya Mineokiマティアッチ新体制で名門フェラーリの復権はなるか photo by Yoneya Mineoki 実際のところ、ドメニカリ前代表が去りはしたが、現場スタッフの面々にこれといった動揺は感じられなかった。それはきっと、マティアッチが取るべき態度を示しチームを安心させたからだ。「マシンを1秒速くするのは私ではなくエンジニアだ」という彼の言葉からは、純然たるレース屋のそれとは異なるマネジメントに長けた人物らしさが感じられた。

「モンテゼーモロ会長とともにチームの評価を進め、どこにどう手を加えるべきかを調査していく。マラネロでは約800人の優秀なスタッフがマシンを速くするために日夜努力をしている。必要とされているのはそういったプロジェクトを統括する最終決定者であり、よほどの才能でなければむやみに新たな人材を投入するということはない」

 第3戦・バーレーンGPのフェラーリは、文字通り惨憺たる状況だった。パワーユニット(PU)の熟成不足は明らかで、直線主体のサーキットでメルセデスAMG製PUを積むチームに歯が立たない。上位浮上のきっかけすらつかめず、フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンという才能を擁しても9位・10位でレースを終えなければならなかった。

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