【F1】小林可夢偉インタビュー「やりがいもクソもなくて、『やるしかない』」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

―― そういうこともあって、今年は「自分が引っ張っていかなきゃいけない」という気持ちが以前よりも強いですか?
「ザウバーのときは(自分もチームも)経験がないところから一緒に頑張って一緒に成長していったっていう感じやったけど、今回、僕は『経験があるからチームを引っ張ってくれ』っていう役目でここに来ていますからね。このチームは2010年からやから僕と同い年やし、下手したら2009年にトヨタで走っている僕の方が年上っていうことになりますからね。F1自体は2007年くらいから乗っていたし。そういう意味では、僕がこのチームに与えられる経験とか知識、フィードバックっていうのはあると思う。

 みんな僕に対してこの世界に入ったばっかりの人間っていう感覚は持ってないから、"経験があるドライバー"っていう設定(イメージ)で接してくる。たった3年しかやってへんのに(苦笑)。だからすべてのことにおいて僕を優先的に考えてやってくれているから、やりやすいですね」

―― 1月下旬に加入した時、チームの雰囲気はどうでした?
「雰囲気がどうのこうのって言ってる場合じゃなくて、僕らが自分で持ち上げるしかないですからね。やるしかないっていう。去年の時点でチームのモチベーションが下がっていたのも事実やし、仕事は多いし。だからここで僕がちゃんと引っ張れれば、チームとしても良いことやし、自分としても評価につながる。やりがいもクソもなくて、『やるしかない』っていうだけですよ(笑)」

―― レースエンジニアのティム(・ライト)とのコミュニケーションは?
「コミュニケーションに関しては問題ないですけど、新しいシステムが多すぎるんで、改善すべき点をどういう風に伝えるかというのが問題ですね。ここから経験を積んでいって、こういうときはこうするみたいな、言葉にしなくてもだいたい分かるっていうような関係を作っていきたいです。まだ、その段階に行けるほどクルマをいじれてないのが問題ですけど、ひとつずつやっていくしかないですね」

―― ドライビングの技術でいうと、今さらそんなに変わるものではない?
「変わらへんけど、GTに乗って引き出しが増えたという自信はあるんですよ。今までGTに乗ったことのなかった人間が、重量がF1の倍以上あるクルマで走るって、なかなかパッと合わせられるもんじゃないです」

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