2014.02.26

【F1】小林可夢偉インタビュー
「やりがいもクソもなくて、『やるしかない』」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「今日のテストは長くて長くてしょうがなかった。マシンに乗っている時間はすごく短く感じるけど、待ってる時間は長く感じるからね(笑)」

 2月22日、バーレーン合同テスト最終日の走行がたったの17周しかできなくても、小林可夢偉は苛立ちを見せなかった。むしろにこやかに話し、自分たちが置かれている状況を冗談で笑いとばしさえした。

バーレーンで思うようにテスト走行できなかったが、前向きにインタビューに応じた小林可夢偉 1月28日に始まった2014年シーズン開幕前のテストはこれで3分の2が終わった。1年ぶりのF1復帰となる可夢偉にとっては、ルノー製パワーユニットの問題に悩まされて十分なテストができず、もどかしい状況が続いている。

 しかし、これまでの経験を買われて「チームの牽引役」としてケータハムにやって来た可夢偉は、2012年までの可夢偉とは明らかに違う。

 自分の時間を切り崩してでもチームスタッフたちと過ごす時間を増やし、以前なら決して自ら進んでやる方ではなかったメディア対応も、嫌な顔をせずに受け答えする。それはきっと、可夢偉が考える"クールな自分"ではない。だがクールであろうとなかろうと、大切なのは結果だ。

 時には泥臭く努力する姿を晒す覚悟が、今の可夢偉にはある。F1から離れなければならなかった1年間が、可夢偉をまたひとつ成長させたのだ。

―― 2012年の小林可夢偉と2014年の小林可夢偉はどう違いますか?
「(2010年から)3年間フルで戦って、2013年に1年休んで感じたことをすべてまとめてここでやって、それが通用するかしないかですよね」

―― F1から離れている間に一番考えたことは何でしょう?
「人間って面白いよなぁって思いましたよね。F1ドライバーじゃなくなった瞬間に冷たくなる人もいれば、そうじゃない人もいる。ほんなら、そういうなかで自分をどうやって作っていけばいいんやろとか、いろいろ考えましたね。それで、これまでとは違うやり方をしないとダメやなって思ったんです。F1ドライバーじゃなくなった瞬間に、中途半端に知名度だけが残ったでしょ? それで変にツラい部分もあったし。

 まぁ、現実もよく見えたし、今の時代のF1ってドライバーだけじゃ無理だということも実感した。だからこそ、いろんな経験をしていろんなことをやっていかなきゃいけないんだろうなと思ったんですよね。F1ドライバーってスポーツマンというジャンルに入れてもいいのかなっていうところにきてると思うんですよ。トップチームならスポーツマンとしてドライビングに専念することができるんですけど、下の方のチームにいくとそうではないと思う。そのへんが残念なところではありますけどね......」