ついに小林可夢偉がF1復帰。シート獲得までの舞台裏
1月21日、小林可夢偉のF1復帰が決まった。
数日前から話題になっていたように、ケータハムがドライバーラインナップを正式発表したのだ。可夢偉はその喜びを次のように語っている。
2014シーズン、ケータハムのドライバーに決まった小林可夢偉「再びF1のレースドライバーに戻ることができ、すごく嬉しいです。ケータハムF1チームと一緒に戦えることを非常に楽しみにしています。チームが僕のこれまでのレースの実績と経験を評価して起用してくれたことを光栄に感じていますし、今日こうして発表ができて嬉しいです。僕のこれまでの経験とすべての力を使ってチームを牽引して目標を達成できるように頑張ります」
昨年3月に2013年F1のシートを諦め、WEC(世界耐久選手権)に参戦することを決めてからというもの、可夢偉にとってはつらい10カ月間だった。
その間もF1復帰を目指して活動は続けていたものの、決して視界良好というわけではなかった。上位チームは8月から10月にかけて早々に2014年ドライバーラインナップを固め、財政難にあえぐ中団チームはドライバーが持ち込む資金の多寡ばかりに注目した。
そして何より、可夢偉が"F1界の外"にいたことが大きな足枷(あしかせ)となっていた。
シート争いの台風の目になっていたニコ・ヒュルケンベルグのフォース・インディア移籍と、ロータスのドライバー決定に呼応するように、可夢偉がシート獲得を目指して交渉をしていたウイリアムズやザウバーも続々とドライバーを決めた。そこに挙がる名前は、いずれも2013年にF1の世界にいた者ばかりだった。
可夢偉が「交渉しているチームのレスポンスが突然悪くなった」とツイートした数日後の12月21日にザウバーがエステバン・グティエレスとの契約更新を発表した。これで残る空席は下位のマルシアとケータハムのみ。この時点で、可夢偉を取り巻く状況は極めて厳しいものだったと言えた。
しかし可夢偉は、なんとしてでもF1の世界に戻りたいという思いが強かった。F1でレースがしたいと、強く思っていた。F1から離れて過ごしたことで、1年前よりもずっとその思いは強くなっていた。
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