【MotoGP】死角なし。「無敵のルーキー」マルケスが王座へ前進

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 20周で争われたイギリスGP決勝レースは、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が激しいトップ争いを繰り広げ、シルバーストンサーキットの7万を超す大観衆から何度も大きなどよめきが沸き起こった。

 ロレンソ-マルケスの順で最終ラップになだれ込んだ両名は、勝負を仕掛けたマルケスが最終区間の左コーナーで一度は前を奪ったものの、そこから切り返す右コーナーでロレンソがインを差し、続く最終コーナーも抑えきってゴール。0.081秒の僅差で今季4勝目を挙げた。

イギリスGPはロレンソが僅差で優勝。2位にはマルケス、3位はペドロサが入ったイギリスGPはロレンソが僅差で優勝。2位にはマルケス、3位はペドロサが入った「今までのレース人生でベストレースのひとつ。感無量の勝利」とこの日の優勝を振り返ったロレンソは、最終ラップの戦いを「ブレーキングでミスをしてフロントが切れこみ、転びそうになった。だから、きっと(マルケスが)来るなと思った。オーバーテイクされたときは『OK。2位でもいいか』と一瞬思ったけど、でも、攻めなきゃいけないと思い直して、最終区間でインを開けていたところに一か八かと思ってトライしたんだ」と説明した。

 一方、2位で終えたマルケスは、ディフェンディングチャンピオンのロレンソに5連勝こそ阻まれたものの、これで今季12戦中11回の表彰台登壇を達成。バレンティーノ・ロッシが最高峰クラスデビューを果たした2000年に達成した、年間10回表彰台の記録を上回った。

 さらに度肝を抜かれるのは、マルケスがこの決勝レースに先だつ午前のウォームアップ走行で転倒し、左肩脱臼というケガを抱えていたという事実だ。

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