【MotoGP】快進撃の新星、マルク・マルケスが見せる規格外の強さ (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ちなみに、ロッシは最高峰クラスデビューイヤーの2000年に10戦で表彰台を達成しているが、同じく10回表彰台に上がったマルケスはまだシーズン7戦を残している。また、ルーキーイヤー最多勝利数の前記録保持者ケニー・ロバーツがグランプリに初参戦した1978年は、シーズン11戦で争われていたために現在との単純な比較はできないとはいえ、この年にロバーツは8戦で表彰台を獲得した。ロバーツの年間表彰台獲得率73%に対して、マルケスは現時点で91%。ロッシが「ロバーツの初年度と比べても、充分にすごいと思うよ」というのも当然だろう。

 このままマルケスが快進撃を続けて勝ち続けた場合の対応策について、ロッシは「もうフォーミュラワン(F1)にでも、行ってもらったほうがいいんじゃないかな」とジョークで答えた。

 自分自身も、MotoGPで向かうところ敵なしの状態だった時代にF1転向を検討した経緯があるだけに「なかなかいいアイディアじゃない? 僕ならアドバイスもできるよ」と話して周囲の笑いを取った。

 しかし、その言葉に続いて「現状の、マルケスとホンダの組み合わせはちょっと打ち負かせないくらいだね」とつぶやいた言葉は、おそらく偽りのない本心であるだろう。最強選手と最強マシンの組み合わせが発揮する強大な威力をもっともよく知り尽くしている人だけに、その言葉の意味は重い。

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