【F1】ハンガリーで今季初勝利。元王者ハミルトンがタイトル争いに名乗り (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 スタートで首位を守りきったハミルトンは、ベッテル、グロージャンを従えてトップを快走した。ハミルトンはソフトタイヤの性能が低下してきたとみるや9周目にピットイン。ベッテルは2周後、グロージャンは4周後にピットに向かった。彼ら2台のタイヤは思ったほど長く保たず、後続集団の中に放り込まれることになってしまった。その追い抜きに手間取る間に、トップのハミルトンはいつの間にか10秒もの差を築き上げた。

「僕らはソフトタイヤでもう少し速さがあると思っていたんだけど、リアタイヤが思ったよりも速くタレてしまった。それからジェンソン(・バトン)に捕まったのが致命的だった。彼を抜くのに苦労して、フロントウイングにダメージを負ってしまったし、長時間ロスしてしまった」(ベッテル)

 ピットストップ回数が1回少ない戦略を採るグロージャンは、ハミルトンにとって大きな脅威になる可能性もあった。しかし、彼はバトンとのバトルの際に接触をしてタイムロス、さらに、フェリペ・マッサを追い抜く際にコースをわずかにはみ出してペナルティを科されて後退した。

 ベッテルとグロージャンの自滅で、ハミルトンのレースは随分と楽になった。攻め立ててくる相手がいなければ、タイヤに優しいセッティング、タイヤに優しい走り方、タイヤに優しいペースで走ることができる。

「セバスチャン(ベッテル)は僕と互角かそれ以上の速さがあったかもしれない。でも幸いなことに彼を後ろに抑え込むことができたし、僕のタイヤは彼よりも1、2周短いだけだった。それ以降はギャップをマネジメントするだけだった。特に第2スティント以降はずっとかなりペースをコントロールしていたしね。最後の20周くらいはタイヤのマネジメントとクルージングすることだけを念頭に置いて走った。タイヤがうまく機能してくれるようにね。今日はタイヤをいたわるためにやれるテクニックはすべて使ったよ」

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