【F1】有力チームの新車が出そろう。今シーズンのトレンドは?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

新車を発表した昨季覇者のレッドブル photo by Red Bull Racing新車を発表した昨季覇者のレッドブル photo by Red Bull Racing 2月5日の合同テスト開幕を前に2013年型ニューマシンが続々と発表され、いよいよF1は賑やかさを増してきた。相次いで行なわれる新車発表会とそのマシンたちを眺めると、2013年のトレンドのようなものが見えてくる。

 まず、昨年「醜(みにく)い」と大不評だったノーズの"ステップ(段差)"が姿を消した。

 これは段差を隠すためのカバー装着が許されたためで、多くのチームがこれを導入している。だが、わずか数百グラムでも重量増を嫌い、装着せず段差を残しているチームもある。いずれにせよ、ノーズ上の段差が気流に与える影響は皆無に近く、カバーの有無でマシン性能が変わるわけではない。

 それよりも目を向けるべき今季最大の特徴は、コンサバティブなマシンが多いということだ。

 レッドブルにしてもフェラーリにしても、一見して昨年型マシンと差を見つけるのは難しい。中団グループを争ったロータスやフォースインディアにしてもそうだ。それだけ目新しい開発が乏しいのだ。

「このマシンは昨年型を正常進化させたものだ」

 各チームの技術責任者からは同じようにその言葉が発せられる。これは車両規則を定めるテクニカルレギュレーションに変更点がほとんどなく、どのチームも昨年型の延長線上でマシンを開発してきたためだ。具体的に言えば、今季型マシンの開発は空力面のディテールを煮詰めた作業が大半となっている。

 だがそれに加えて、2014年に1.6リッターV6ターボエンジンへの移行という大転換を控えているという事情もある。マシンをガラリと変えるべきはそのタイミングであって、今季は一発逆転を狙ったとしても効果が薄い。2013年は"移行の年"であって、そこを無難に乗り切ろうという思惑が透けて見える。

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