【MotoGP】歴史的和解。ロレンソとペドロサの関係改善がパドック全体に与える影響とは? (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 とはいっても、ロレンソとペドロサの間には以前のような確執はない。

現在26歳のペドロサと25歳のロレンソは、同じスペイン人ながら、しばらく前までは一切目も合わさず口もきかない強烈なライバル意識を持っていた。

2008年のスペインGPでは、観戦に訪れた国王のフアン・カルロスI世が表彰式で両選手の手を取って握手させようとしたが、ふたりの関係はそれでも改善を見せなかった。

 ところが、昨年頃から記者会見などで顔を合わせると言葉を交わすようになり、いつしか会話の中に笑顔も見えるようになってきた。さらに、今年の開幕戦カタールGPの際には、スペイン紙の企画によりパドックで対談も行なわれた。一時期の激しい敵対関係を知る者には、ロレンソとペドロサのこの融和は、まさに"歴史的和解"という言葉が相応しいようにも映った。

 この関係改善について、ロレンソは
「2003年は、僕たちは敵同士だった。2005年には、さらに敵対した。2008年には、もっともっと敵になった。でも今は抱擁しあえる関係だ。2、3年後には、ひょっとしたら結婚してるんじゃないかな」
 と話し、周囲を爆笑させた。

 ペドロサも、落ち着いた様子で笑みをうかべながら
「子どもだったんだよ。勝つことしか頭になかったんだ。でも、大人になっていろんなことがわかるようになってきた。その結果、関係が少しずつ変わってきたのだと思う。現在は前よりもずっと良い関係だと思う。レースになると話は別だけど」
 と説明した。

 この関係改善により、来年の選手移籍はさらに多様な憶測を生むようになった。前戦でストーナーが今季限りの引退を発表したために、レプソル・ホンダのシートがひとつ空くことになり、選手たちの契約更改を巡り虚実入り交じったさまざまな情報が飛び交っている。

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