可夢偉はどうなる? 勢力図に変化は?2012シーズン注目のポイント

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

ザウバーでの3年目を迎える小林可夢偉。さらなるステップアップに期待したいザウバーでの3年目を迎える小林可夢偉。さらなるステップアップに期待したい

 ついに2012年のニューマシンがお目見えし始め、F1の新シーズンも始まりを迎えようとしている。

 昨年はレッドブルとセバスチャン・ベッテルの独走に終始したにもかかわらず、シーズン全体を通してみれば非常にエキサイティングで面白かったという印象が残った。では、2012年はどんなシーズンになるのだろうか。どんなところに注目していけばいいのか、そのヒントを提示していきたいと思う。


6人のチャンピオン経験者が揃う

 いま最も勢いに乗るのが、2年連続王者のベッテルであることは間違いない。

 しかし今年は2007年王者のキミ・ライコネンが復帰し、6人ものチャンピオン経験者が顔を揃えることになった。ライコネンはロータス(旧ルノー)からの参戦で、すぐに優勝争いに加わることは難しいだろうが、"アイスマン"の愛称で知られるイケメンの復帰によって、F1に華やかさが増すことは事実。

 05、06年王者フェルナンド・アロンソはフェラーリとともにタイトル奪還に燃えているし、08年王者ルイス・ハミルトンはピレリタイヤに苦しんだ昨年のリベンジを期している。09年王者ジェンソン・バトンは、タイヤに優しいドライビングを武器に今季もレース巧者ぶりを見せるだろう。7度の王座を獲得しているミハエル・シューマッハも、メルセデスの戦闘力向上が期待される今年はこれまで以上の活躍を見せてくれるはずだ。

 こうしたスタードライバーが揃う中で、誰が勝利を収めるのか、はたまた新たなチャンピオンが生まれるのか、2012年の注目ポイントのひとつになるだろう。


ガラリと変わる? マシン勢力図

 昨年、レッドブル独走劇の鍵となったのは、「ブロウンディフューザー」(エンジン排気をダウンフォース発生に活用する装置)だった。先行開発者である彼らは、その恩恵をどのチームよりも大きく受けたのだ。しかし今季はこれが禁止となり、レッドブルのアドバンテージは消え去った。

 各チーム再びゼロからのマシン開発となる今季は、勢力図も大きく変わる可能性がある。技術レギュレーションが大きく変わる年は、2009年のブラウンGPの躍進のように、中堅チームにも充分にチャンスがあるのだ。

 特に"正解"が見えるまでのシーズン前半戦は、予想外のレース展開も大いにあり得るだろう。

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