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【競馬予想】1着賞金15億円のサウジカップ、勝つのはフォーエバーヤングか、ロマンチックウォリアーか (2ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 今回のサウジカップでは当初、先に触れたアメリカでの2競走でフォーエバーヤングに先着したシエラレオーネや、一昨年のBCクラシックの覇者ホワイトアバリオといった超強力なメンバーとの対戦が予定されていた。しかし、これらの有力馬が次々に回避。その結果、海外の主要ブック―メーカーではフォーエバーヤングが1番人気の評価を集めることになった。

 無論、矢作調教師はそうした評価、期待にも応えるつもりだ。

「(強い有力馬の相次ぐ回避に)ちょっと残念だよね。アウェーでは負けたけど、中立地(で行なわれるサウジカップ)では負かしてやろうと思ってましたので」

 ただ、そんな矢作調教師が「(初ダートがどうか)わからないとしか言いようがないけど、強いのは間違いない」と警戒する馬がいる。香港から参戦するロマンチックウォリアー(せん7歳)だ。

 現在8連勝中のロマンチックウォリアー。うち、GIが7勝。日本にも遠征して、GI安田記念(東京・芝1600m)で戴冠を遂げた。後続との着差はそれほど大きくなかったものの、"モノの違い"を感じさせる走りを見せつけた。

 前走では、ドバイに遠征。GIジェベルハッタ(メイダン・芝1800m)をコースレコードで圧勝してきた。そんな同馬が今回、世界最高賞金額を目標に捉えて、初ダートながら果敢に挑戦してきた。管理するダニー・シャム調教師が言う。

「サウジのダートは、地元香港の調教でも使うオールウェザーと同じく、砂と木皮の混合物。そういう意味では、レースとは別ものではあるけど、まったく未経験の馬場というわけではありません。いずれにしても、今回(の出走)は香港競馬にとっても大きなチャレンジです」

 実のところ、血統的な裏づけがないわけではない。キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートは、かつてドバイワールドカップが行なわれていたナドアルシバ競馬場のダートと質感的に似ている。そして、ロマンチックウォリアーの母の父ストリートクライ、母の母の父シングスピールは、いずれもナドアルシバ競馬場でのドバイワールドカップの勝ち馬なのである。

 また、不気味なのはロマンチックウォリアーの主戦を務めるジェームズ・マクドナルド騎手だ。前走のメイダンでは当地初騎乗ながら、ロマンチックウォリアー以外にも2勝を挙げた。

 それゆえ、シャム調教師も全幅の信頼を寄せ、「今回は金曜日の騎手招待競走でも(マクドナルド騎手は)騎乗するので、(サウジでの競馬が)完全な初物ではないのも心強い」と、大一番への期待を膨らませる。

 日本を代表する若きダート王と、香港が誇る芝中距離の英雄。交わること自体が奇跡とも言える世紀のマッチアップは、どういった結果となるのか。歴史的な瞬間から目が離せない。

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