オークスは「1強」ステレンボッシュで本当にテッパン? 逆襲を目論む素質馬2頭が不気味 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 現に関西の競馬専門紙記者からは、こんな情報が伝わってきた。

「厩舎関係者は皆、ステレンボッシュの能力が高いことは認めていますけど、"抜けている"とまでは思っていません。ましてや、今回はどの馬にとっても初めて走る2400m戦。『つけ入るスキはある』と見ている陣営は少なくないですよ」

 ステレンボッシュの弱点とされる点を具体的に挙げれば、そのひとつにスタートがある。同馬はスタートを含めて、決して出脚がいいわけではない。桜花賞でもスタート直後は最後方だった。そのため、道中ではすんなり位置が取れず、どうしても末脚勝負になる。

 仮に、その末脚が封じられる展開になったら、あるいは、内で包まれて出るに出られない状況になったら......など、弱点から生じる不安はいくつも考えられる。

 では、そうした状況にあって「打倒ステレンボッシュ」を成すのは、どの馬か。

 桜花賞のあと、オークスへ向けての重要なステップレースがふたつ行なわれたが、いずれもメンバーレベルは高くなかった。だとすれば、これら別路線組が下剋上を果たす可能性は低い。

 ということは、やはり目を向けるべきは、桜花賞で苦杯をなめた面々の逆襲である。

 その筆頭候補は、素質馬クイーンズウォーク(牝3歳)だ。

 桜花賞では、3番人気に推されながら8着。やや負けすぎ、という印象もあるが、それにはこんな理由があるという。先の専門紙記者が説明する。

「桜花賞は1枠2番からのスタートで、道中はずっとごちゃついていた馬群のなかでの競馬を強いられました。あれでは、力を出せないし、8着というのも納得の結果。むしろ、よく走ったほうです。もし、外枠発走からスムーズな競馬ができていれば、3着はあったと思います」

 もともと同馬の最大目標はオークスと言われ、桜花賞前にはその布石として、GIIIクイーンC(1着。2月10日/東京・芝1600m)を使ったとされる。そして、迎えるオークスでは、コース経験も、関西からの輸送経験もあり、父キズナという血統から、距離延長さえ望むところ。ポジティブな材料は多い。

 そのうえ、桜花賞で苦しい競馬をしたことが、オークスにつながるいい経験になった、というプラス要素もある。また、500kgを超える大型馬だが、一戦ごとに大型馬特有の緩さも抜け、完成形に近づきつつあるという。

 つけ加えておくと、同馬を管理するのは中内田充正厩舎で、鞍上は川田将雅騎手。昨年の「1強」リバティアイランドと同じコンビで、オークスの勝ち方を知っているという点でも心強い限りだ。

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