世界が注目のジャパンC リバティアイランドは「世界一」のイクイノックスに勝てるか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 それが今回は、天皇賞・秋からわずか中3週と、これまでのキャリアのなかで最短の間隔でのレース出走となる。いくら馬自身が成長し、弱点が解消されているからといって、このレース間隔の短さがイクイノックスの走りに何らかの影響を及ぼしてもおかしくないのではないだろうか。

 それに対して、先の専門紙記者はこう語る。

「(イクイノックス陣営は)最初からこのローテを決めていたし、次にGI有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)を使うという話もあるようですから、体質強化にある程度のメドが立っているはず。とすれば、中3週ということが、特に走りに影響することはないでしょう」

 それでも、専門紙記者は「ただ......」と言って、こう続けた。

「リバティアイランドとの比較で言えば、よりゆったりとした間隔でレースに臨めるリバティアイランドのほうが、イクイノックスよりも有利なのは確かです」

 次に挙げられるのは、斤量だ。これは、イクイノックスの懸念と言うより、リバティアイランドが得るメリットと言ってもいいかもしれない。

 なにしろ、イクイノックスの斤量58kgに対して、リバティアイランドはそれよりも4kgも軽い、斤量54kgで出走できるからだ。これは、かなり大きなアドバンテージと言える。

 無論、古馬と3歳馬との間には、体力面や完成度を含めて差があるのは確かだ。しかしながら、その差は旧来の固定観念で見られているほど大きくない、というのも事実である。

 世界最高峰のレースと言われる凱旋門賞でも1997年~2016年までの20年間で3歳馬が14勝を挙げるなど、同レースでは「斤量で恵まれる3歳馬有利」と言われてきた。そのことから、2017年から3歳馬の負担重量が0.5kg重くなったのは(牡馬が56kg→56.5kg、牝馬が54.5kg→55kg。古馬は1995年から牡馬が59.5kg、牝馬58kg)、古馬と3歳馬との間に大きな差がないことの、ひとつの証拠と言える。

 さらに牝馬も、古き固定観念で言われるほど弱くはない。凱旋門賞では過去15年(2009年~2023年)で牝馬が延べ8度勝っており、日本のジャパンCでも過去15年(2008年~2022年)で牝馬が延べ7勝。そのうち、2頭は3歳牝馬である(2012年のジェンティルドンナと2018年のアーモンドアイ)。

 つまり"名牝"クラスであれば、牡馬との、さらには古馬との負担重量の差を味方につけられることは明らか。"三冠牝馬"となって、もはや"名牝"の域にあるリバティアイランドが今回、斤量4kg差という恩恵を受けて、イクイノックスを撃破するシーンは十分にあり得るということだ。

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