エリザベス女王杯は外国人騎手の独壇場も、GI勝利を渇望する関東トップ騎手の「意外性」に期待

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――今週は「秋の女王決定戦」となるGIエリザベス女王杯(11月12日/京都・芝2200m)が行なわれます。ただ今年は、GIウイナーが1頭のみというメンバー構成。それについて、どんな印象をお持ちですか。

大西直宏(以下、大西)僕はこのレースで、各世代を代表する女王たちの対決が見られることを楽しみにしているのですが、今年は3歳の三冠牝馬リバティアイランド、4歳の二冠馬スターズオンアースが出走しないのは、残念ではありますね。

 ですから、出走メンバーを見渡した時の第一印象は、「やや小粒(なメンバー)で、実力拮抗の混戦ムードだな」というものでした。でもその分、馬券的には面白味があるかなと思っています。

――ところで、先々週はクリストフ・ルメール騎手がGIIIアルテミスSとGI天皇賞・秋を制すなど、土日で計8勝。先週はジョアン・モレイラ騎手がGIIアルゼンチン共和国杯での好騎乗を含めて土日で計11勝と、外国人騎手の活躍が際立っていました。そうした状況にあって、今週からは短期免許でライアン・ムーア騎手とトム・マーカンド騎手が来日。ビッグレースではますます外国人騎手が猛威をふるいそうです。

大西 最近は、外国人騎手の技量の高さをまざまざと見せつけられている感じがしますね。ルメール騎手については触れるまでもないですが、モレイラ騎手の技術力の高さにも改めて驚かされています。彼らが騎乗する馬は、通常よりも"能力1割増し"くらいに考えたほうがいいかもしれません。

 今週から騎乗するふたりの騎手についても同様です。とりわけムーア騎手については、僕は世界でも最高騎手のひとりだと考えています。特に内をさばいて抜け出す技術は、世界屈指。2010年、2011年にスノーフェアリーでエリザベス女王杯連覇を果たした時のことは、今でも語り草になっています。

 一方、マーカンド騎手も昨秋の初来日で活躍。乗れる外国人騎手として、広く認知されました。今回は、京都コース初騎乗。エリザベス女王杯ではその点が若干気になるものの、彼の迫力ある追いっぷりは、京都の外回りの追い比べで大いに武器になるのではないでしょうか。

――大西さんに少し触れてもらったように、今回のエリザベス女王杯でも上位人気が予想されるジェラルディーナ(牝5歳)にムーア騎手、ブレイディヴェーグ(牝3歳)にルメール騎手、サリエラ(牝4歳)にマーカンド騎手と、外国人騎手が騎乗。やはり、中心となるのはこうした面々でしょうか。

大西 有力馬を多数抱えるノーザンファームは、外国人騎手のスキルを高く評価し、その実力に絶大な信頼を寄せています。自家生産馬を勝たせるためにも彼らを海外から呼び寄せていると思うので、それらが中心になるのは当然でしょうね。

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