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天皇賞・春、絶対王者につけ入る隙はあるか?「打倒タイトルホルダー」を果たすのは新装・京都で浮上する、あの産駒 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「昨秋の結果を受けて、調子がどうとか、能力的なピークがどうとか、いろいろと言われてきましたが、調子が悪かったり、能力に陰りがあったりしたら、あれだけのパフォーマンスは見せられませんよ。とすれば、天皇賞・春においても、それまでに指摘されたような不安はまったくない、と考えていいでしょう」

 どうやら、天皇賞・春の連覇へ、視界は良好と言えそうだ。

 とはいえ、そんな"絶対王者"に対しても死角はないものかと、重箱の隅をつつきたくなるのが競馬をたしなむ者の性である。

 タイトルホルダーにとって、まず懸念すべきは展開だ。今年の出走メンバーには、アフリカンゴールド(せん8歳)、ディアスティマ(牡6歳)といったハナを主張したい馬が2頭いる。この2頭、あるいは2頭のどちらかが捨て身の逃げ戦法に出たとしたら、どうなるだろうか?

 無論、それがタイトルホルダーにとって、致命的なものになるとは思わない。現に昨年の宝塚記念では、パンサラッサに大逃げを打たれながらも、最後はきっちりと差しきった。

 しかしながら、逃げて圧勝したGI菊花賞(阪神・芝3000m)や昨年の天皇賞・春ほど、後続を引き離すことはできなかった。先の専門紙記者も、「タイトルホルダーはハナをきらなくてもレースはできるが、ハナをきった時よりパフォーマンスは落ちる」と言う。

 距離の違いもあるゆえ、一概には言えないが、専門紙記者の言うことには一理ある。タイトルホルダーは逃げなくてもレースはできるが、最も強いのは逃げた時、と言うことはできるだろう。

 ならば、仮に逃げた馬のペースが絶妙で、タイトルホルダーがそれを捕まえるのに手こずるようなら、虎視眈々と一発を狙う後続の馬たちにもチャンスが生まれるのではないか。

 そしてもうひとつ、タイトルホルダーのウィークポイントとして考えられるのが、新装なった京都競馬場だ。

 タイトルホルダーは、俗にいう"偏食ホース"の可能性がある。東京競馬場では一度も勝っていないが、阪神競馬場では3戦3勝。しかも、その3戦はすべてGIだ。

 おかげで、菊花賞や天皇賞・春の圧勝劇は、馬のポテンシャルや長距離への適性もさることながら、通常京都で行なわれるこれらのレースが「阪神で行なわれたことも大きかった」という声もあるほどである。

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