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ウマ娘でも「復活」が描かれるトウカイテイオー。ジャパンCでの感動的な勝利は日本馬に大きな影響を与えた (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 筆頭格は、春にイギリスとアイルランドの両オークスを制し、秋は牡馬を相手にイギリスセントレジャーを勝利。返す刀で挑んだ凱旋門賞も2着となった4歳牝馬ユーザーフレンドリー。春にオーストラリアでGIを2勝し、秋も4勝のナチュラリズム。前年のメルボルンC勝ち馬で、2走前に2年前のジャパンC馬ベタールースンアップとのマッチレースを制したレッツイロープ、GIアーリントンミリオンの覇者ディアドクター、この年のイギリスダービー馬ドクターデヴィアスに、2年前のイギリスダービー馬クエストフォーフェイムといった面々。

 日本調教馬も、クラシックに出ることができなかったセン馬のレガシーワールドと外国産馬のヒシマサルなど、決して油断できるような相手ではなく、トウカイテイオーは5番人気というキャリアを通じて最も低い評価でレースを迎えることとなる。

 レースではレガシーワールドが先手を取り、引っ掛かるようにドクターデヴィアスが並んで引っ張る。ユーザーフレンドリーも折り合いを欠いてペースはやや速めに流れるなか、トウカイテイオーは鞍上の岡部幸雄騎手とピタリと折り合って、5番手の外を追走した。隊列は大きく変わらず、最後の直線を迎え、粘り込みを図るレガシーワールドのインを突くようにナチュラリズムが抜け出すと、同じタイミングで外からトウカイテイオーがグイグイと伸びてくる。内外離れての先頭争いに場内は大歓声に包まれた。

 想像して欲しい。シンボリルドルフ以来、ミホシンザンも、タマモクロスも、オグリキャップも、そして前年はメジロマックイーンも、弾き返された世界の壁を、シンボリルドルフの仔が超えようとしているのだ。そして、残り100mでトウカイテイオーはナチュラリズムに併せに行くと、そこからさらにひと伸びを見せ、先頭でゴールを駆け抜けた。刹那、普段は馬上で感情をあまり出さない岡部騎手もグッと拳を握る。勝つときは華麗に勝つトウカイテイオーが、あえて泥臭く、勝負根性でもぎ取ったクビ差は、トウカイテイオーにとっても生涯を通して最も着差の小さい勝利となった。

 この勝利はトウカイテイオー自身にとっても大きなものであったと同時に、父母ともに内国産馬での勝利、そして、ここから日本調教馬が3連勝と、日本競馬にとっても大きな変換点となるのだ。

 今や外国招待馬はかつての日本調教馬のような状態となったが、今年は久々に4頭が参戦。今度は彼らの逆襲の順番かもしれない。

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