皐月賞を制したジオグリフ。ノド鳴りを抱えながらも陣営が秘める二冠達成への手応え
2022年クラシック候補たち
第19回:ジオグリフ
競走馬にとって深刻な病気のひとつに「ノド鳴り(喘鳴症)」がある。これは、咽頭部の神経の麻痺などによって気道が狭くなり、呼吸が苦しくなるもの。この症状に陥ると、呼吸の時に音が鳴ることから、そう呼ばれる。
そんなノド鳴りを抱えていれば、レースでのパフォーマンスは当然落ちる。だが、その症状がありながら、クラシックタイトルをつかんだ馬がいる。
GⅠ皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)を制したジオグリフ(牡3歳/父ドレフォン)である。
牡馬クラシック第1弾の皐月賞を制したジオグリフこの記事に関連する写真を見る 美浦トレセンの木村哲也厩舎に所属する同馬は、デビュー前から調教でノド鳴りの症状がはっきりとわかる状態だった。にもかかわらず、昨年6月のデビュー戦(東京・芝1800m)を快勝した。
続いて、GIII札幌2歳S(9月4日/札幌・芝1800m)に参戦。スタートで出遅れて後方からの競馬となったが、3コーナーからラクな手応えで進出していって、直線入口では先頭に並びかけた。あとは、そのまま後続を突き放し、4馬身差の圧勝劇を披露した。
しかし、およそ3カ月の休養を経て挑んだGⅠ朝日杯フューチュリティS(12月19日/阪神・芝1600m)では5着と敗戦。続くGIII共同通信杯(2月13日/東京・芝1800m)でも、1番人気の期待に応えられずに2着に終わった。直線で少し狭くなるシーンがあったとはいえ、力負けの印象が強く残る一戦だった。
そうして迎えたのが、皐月賞だった。直近2戦の走りから5番人気と評価を落としていたが、初コンビの福永祐一騎手と呼吸を合わせて、道中は5〜6番手を確保。4コーナー手前から大外を駆け上がっていって、直線でも外から脚を伸ばした。
最後は同厩舎のイクイノックスとの叩き合いを演じて、坂を駆け上がるとさらに加速。ゴール手前でイクイノックスをかわし、見事に一冠目を手にした。
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