3歳馬にはハードル高いジャパンC。今年のダービー馬シャフリヤールに勝機はあるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

 加えて、シャフリヤールは春当時に課題とされた馬体にも成長が見られる。

 ダービー時の馬体重は444kg。その華奢な体型が、将来を見据えた際にはひとつの懸念材料とされていた。

 それが、ひと夏の休養を経てふっくらとし、神戸新聞杯の時にはダービーからプラス8kgの452kg。同時に精神面での成長も見られ、これには厩舎関係者も「春はまだ中・高校生という感じだったけど、夏を越して(心身ともに)やっと大学生くらいになった」と、大いに喜んだという。

 さらに、強調したいのが距離適性。シャフリヤールはスピードタイプながら、適距離は2400mくらいか、さらに長い距離にあるという。先述の専門紙記者が語る。

「(シャフリヤールは)時々テンにもたついて、スタートしてスッといい位置をとれない。でもその分、終(しま)いは確実にいい脚を使う。これは、2000m前後より、2400mくらいの距離に適性があることを示しています。

 また、体は小さいのですが、フットワークは実にゆったりしていて、ストライドが非常に大きい。ということは、走りに無駄がないので、長い距離を走っても消耗が少ない。そうした点を踏まえても、ジャパンCの距離は大歓迎だと思います」

「強い3歳世代」屈指の能力を秘め、ひと夏越して成長。しかも、距離もぴったり。「問題は天気だけでしょう」(専門紙記者)。

 過去の歴史からして、3歳馬がジャパンCで頂点に立つのは決して簡単なことではない。それでも、シャフリヤールにはそれを成し遂げるだけのポテンシャンルが備わっている。

 はたして、古馬一線級を相手にしてどんな走りを見せるのか。良馬場での開催となれば、シャフリヤールが日本の競馬シーンの新たな"主役"に躍り出るかもしれない。

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