ダービーで2冠達成濃厚のエフフォーリア。急成長の1頭の逆転はあるか (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 エフフォーリアは、無敗で皐月賞馬に臨んだ馬の中で、2着馬にもっとも大きな差をつけて勝っている。以上のデータからは「2冠制覇は濃厚」と言えるだろう。

 血統を見てみよう。父は昨年の3冠牝馬デアリングタクトと同じエピファネイアで、牝系は女傑ヒシアマゾンや、年度代表馬アドマイヤムーンが出た一流のファミリー。しかし、父エピファネイア、父系祖父シンボリクリスエス、そして母の父ハーツクライも自身は日本ダービーで2着に敗れている。

 シンボリクリスエスとエピファネイアは、産駒からもダービー馬が出ていない。ハーツクライからは2014年のワンアンドオンリーがダービー馬となっているが、2011年ウインバリアシオン、2017年スワーヴリチャード、2020年サリオスと2着馬が多くなっている。

 エピファネイアの父系を遡ると、4代目にブライアンズタイムやリアルシャダイで知られるロベルトに行きつくが、ロベルト系の勝利は2007年ウオッカ(父タニノギムレット)以降出ていない。血統的には、やや日本ダービーとは縁が薄いと言える。

 とはいえ、スタミナ豊富な血統であることは間違いない。器用なレースぶりからも距離延長の不安は少なく、東京コースでもGⅢ共同通信杯(芝1800m)を含む2戦2勝。エフフォーリアの死角は極めて少なく、2冠達成の可能性は高いと見ている。

 ただ、他の馬による逆転は不可能ではないと考えている。3歳春のサラブレッドの成長力は時に驚異的で、今年もそんな馬がいるとすれば、皐月賞不出走で、伸びしろを感じさせるキャリアの少ない馬だろう。

 筆者が最も魅力を感じるのは、現在3戦2勝のグレートマジシャン(牡3歳/美浦・宮田敬介厩舎)だ。同馬は昨年11月に東京/芝1800m戦でデビュー勝ちし、今年1月のセントポーリア賞(東京/芝1800m)で2連勝。前走のGⅢ毎日杯(阪神/芝1800m)はシャフリヤールに次ぐ2着に入っている。

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