叶わなかった兄たちの夢。その実現を託された良血マンインザミラー

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2020年版)
第25回:マンインザミラー

 過去の競馬シーンを振り返ると、「もし故障せずに無事だったら、クラシックでどれだけの活躍ができただろうか」と思いを馳せる馬はごまんといる。そしてその後、そういった馬たちの弟や妹が登場してくると、彼らが果たせなかった"夢"を託したくなる。

 これからデビューを控えた2歳馬の中にも、そんな馬がいる。栗東トレセンの池江泰寿厩舎に所属するマンインザミラー(牡2歳/父ディープインパクト)である。

クラシック出走が期待されているマンインザミラークラシック出走が期待されているマンインザミラー 同馬に託されるのは、兄シルバーステート(牡/父ディープインパクト)の夢である。ケガでクラシック出走は叶わなかったが、無事であれば、その舞台で躍動したであろうと思われる逸材だったからだ。

 現に、2歳7月にデビューし、その初陣こそ僅差で敗れるも、続く2戦目の未勝利戦では後続に5馬身差をつける圧勝劇を演じた。さらに、続く500万下(現1勝クラス)特別の紫菊賞(京都・芝2000m)では、好位3番手から直線で楽々と先頭へ。上がり32秒7という末脚を炸裂させ、難なく連勝を飾ったのである。

 この勝利で、シルバーステートは一躍クラシックの有力候補となった。だが、年が明けて3歳春に屈腱炎を発症。1年半以上の休養を強いられ、夢の舞台に立つことはできなかった。

 同馬はその後、4歳春に復帰。1000万下(現2勝クラス)特別、1600万下(現3勝クラス)特別と連勝を決めた。しかしそこでまた、屈腱炎に見舞われて引退に追い込まれてしまった。それだけに、無事だったらどれほどの活躍ができただろうか、と思いを巡らすファンは少なくない。

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