3強が集う最高峰の戦いで見た「現役最強馬」アーモンドアイの完成形

  • 土屋真光●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 これが"ジャパン"カップだ。

 デアリングタクト(牝3歳)、コントレイル(牡3歳)、アーモンドアイ(牝5歳)と、この秋に"日本初"の快挙を遂げた3頭の三冠馬が激突した歴史的な一戦は、大げさではなく、世界中の競馬ファンを感動で震わせるレースとなった。

 その心揺さぶるレースにあって、あらためて際立っていたのは、このレースがラストランとなったアーモンドアイの強さだ。

3強対決に沸いたジャパンCを制し、有終の美を飾ったアーモンドアイ3強対決に沸いたジャパンCを制し、有終の美を飾ったアーモンドアイ 今回のレースの中心は、「3強」であることは言うまでもない。だが、その3頭以外も色気を持って臨んでいたことが、その引き金となった。

 この1年で、アーモンドアイとて負ける馬であることが明らかになった。端から勝てない相手と思ってしまえば、萎縮してしまうが、そうでないとわかれば、もはや遠慮はいらない。

 そして今回が、現役最強の女王と戦うことができる最後の機会。つまり、打ち破ることができるラストチャンスでもある。しかも、最強の女王は中3週のローテで不安を抱えていた。

 そのため、欲望をむき出しにした馬たちは皆、血気に逸った。

 まずは、キセキ(牡6歳)である。逃げ宣言をしていたヨシオ(牡7歳)、逃げて結果を出してきたトーラスジェミニ(牡4歳)の存在など意に介さず、スタートから先手を取ってレースを引っ張った。

 1000m通過タイムは57秒9。アーモンドアイの驚異的な日本レコードをアシストした2年前のレースを上回るペースで、後続を大きく引き離した。

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