GIシーズンになると思い出す、哀感の「シルバーコレクター」たち (5ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 作戦は、早め先頭からの押し切り。末脚勝負では分が悪く、勝負根性でもわずかに劣るメイショウドトウには、その手しかなかった。

 そうして、4角手前で早くも先頭に躍り出たメイショウドトウ。後方から強襲するテイエムオペラーの追撃を1馬身4分の1振り切って、初めてテイエムオペラーに先着した。同時に、念願のGIタイトルを手にしたのである。

 その後、メイショウドトウは秋のGI戦線でも奮闘したが、勝利を飾ることなく引退した。結局、GI勝ちはテイエムオペラオーを見事に撃破した宝塚記念のみ。ただその1勝は、非常に大きく、価値のあるもののように思える。

 GI7勝を挙げたテイエムオペラオーが歴史に名を刻む名馬になったのも、メイショウドトウという宿敵の存在があったからだろう。

 競馬は、勝者のみならず、敗者もまた美しい。

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