フェブラリーSで「二刀流」GI馬へ。モズアスコットの真価が問われる (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 実は、この馬のダートへの挑戦は、かなり前から計画されていたことらしい。

 同馬は「フランケル産駒がほしい」というオーナーの意向で購入されたそうだが、もともと仔馬の頃から、アメリカのGI馬である母父ヘネシーの血を感じさせる特徴がよく出ていたという。

 2007年のフェブラリーSを制したサンライズバッカスをはじめ、ダートに良績のある産駒を多く出しているヘネシー。さらに同馬は、そのダート向きの走りだけでなく、がっちりとした"いかにもダート馬"という体型的な特徴を、子や孫たちにも「よく伝える」とされている。

 モズアスコットも、そうだった。

 そのため、同馬を管理する栗東の矢作芳人厩舎では、「芝でデビューさせるが、いずれはダートで走らせる」というプランが、早い段階からあったという。

 ただ、幸か不幸か、モズアスコットはデビュー3戦目にして芝の未勝利戦を勝つと、以来、一気に4連勝を飾ってオープン入り。しかも、その翌年には安田記念を勝って、GIの勲章まで手にしてしまったのだ。

 その結果、もともと「適性あり」と見ていたダート戦には、使いたくても、使えない状況になったのだが、昨秋あたりから、芝での成績がやや頭打ちになったことで、しばらく"休眠状態"にあった、ダート挑戦プランが再浮上。昨年の暮れには厩舎関係者から、来年、つまり2020年は「ダート競馬に挑戦する」と公言された。

 そして、モズアスコットは見事に結果を出した。

 だが、ある競馬関係者は「2着に敗れたとはいえ、コパノキッキングのほうが強い競馬をしている」と言って、モズアスコットの快勝劇に"異論"を唱える。

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