走るタイプの特徴をすべて兼ね備えた、ルージュバックの半弟ポタジェ

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第6回:ポタジェ

 たとえタイトルには手が届かなかったとしても、3歳クラシックの主力として健闘し、ファンの記憶に刻まれた馬はたくさんいる。そして数年後、それらの弟や妹が、兄、姉が果たせなかった夢を実現すべくクラシックを目指す――ということは、競馬界にはよくある話だ。

 今年の2歳馬にも、そんな背景を持つ馬がいる。栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するポタジェ(牡2歳/父ディープインパクト)がそうだ。

ルージュバックの半弟ポタジェルージュバックの半弟ポタジェ 同馬の姉は、2015年の3歳牝馬クラシックで注目を浴びたルージュバック(牝/父マンハッタンカフェ)。デビュー戦で鮮やかな勝利を飾ると、2戦目となった2勝クラス(旧500万下)の百日草特別(東京・芝2000m)でも、圧巻の競馬を披露した。のちに重賞を制するベルーフ、ミュゼエイリアンといった牡馬を相手に、上がり33秒3の豪脚を駆使して圧勝したのだ。

 さらにファンを驚かせたのが、3戦目のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)。このレースに牝馬が参戦すること自体、異例の出来事だったが、彼女は圧倒的な1番人気に応えて見事な勝利を収めた。牝馬の優勝は、51年ぶりの快挙だった。

 牡馬相手の重賞勝ちを含めて3戦3勝という輝かしい成績から、春の牝馬クラシックでは当然、大本命の存在となった。しかし、1.6倍の1番人気に推されたGI桜花賞(阪神・芝1600m)では、流れに乗り切れずに馬群に沈んだ。まさかの9着という結果で、初めての敗戦を味わった。

 続くGIオークス(東京・芝2400m)では、リベンジを誓って積極的な競馬を展開。先行策から直線で堂々と先頭に立ち、戴冠へあと一歩というところまで迫った。が、最後にミッキークイーンに外から交わされて2着で惜敗。3歳牝馬クラシックにおいて、栄冠を手にすることはできなかった。

 結局、その後もGI制覇を遂げることはできなかったルージュバック。それでも、古馬になってから牡馬相手に重賞を3勝するなど、第一線で活躍した。

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