本命・グランアレグリア不在のオークスで、
ドラマを起こしそうな2頭

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 5月19日、東京競馬場では牝馬クラシック第2弾で、3歳牝馬最高峰のレースに位置づけられているGⅠオークス(芝2400m)が行なわれる。

 例年、オークスで大きなポイントになるのは、クラシック第1弾のGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)に出走した馬の取捨となるが、今年の桜花賞を制したグランアレグリアはGⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)に出走(5着)したため今回は不在となる。それだけに、大本命不在の混戦模様が予想されている。

 そしてもうひとつの大きなポイントとなるのが、桜花賞から実に800mも延長される距離。過去には血統的な壁から桜花賞上位馬が大敗を喫したケースも多く、逆に、距離が延長したことで激走した馬も少なくない。今回は血統を中心に、距離延長がプラスに働きそうな馬を探ってみたい。

 今回、筆者が狙ってみたいのはノーワン(牝3歳/栗東・笹田和秀厩舎)だ。

3月のフィリーズレビューを制したノーワン3月のフィリーズレビューを制したノーワン

 同馬は桜花賞トライアルのGIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)で、プールヴィルとの同着優勝を飾ったものの、桜花賞では1秒5差の11着に敗れている。一見、力不足に思えるかもしれないが、ここで巻き返しを期待したくなる血統構成の持ち主だ。

 父ハーツクライはGⅠ有馬記念(中山・芝2500m)、GⅠドバイシーマクラシック(UAE・芝2400m)の勝ち馬。種牡馬としても2014年のオークスを制したヌーヴォレコルト、2014年の日本ダービーを制したワンアンドオンリー、2017年のジャパンCを制したシュヴァルグランと、東京芝2400mのGⅠを完全制覇している。豪州でも、アドマイヤラクティがコーフィールドC(芝2400m)を制しており、この距離には十分な実績がある。

 加えて、ノーワンは母系も魅力的だ。3代母サンプリンセスは英オークス(芝約2400m)、ヨークシャーオークス(芝約2400m)、英セントレジャー(芝約2900m)を勝った"ステイヤー"で、同牝系の日本馬にはオークス馬エリンコート、日本ダービー馬フサイチコンコルドなども出ている。ちなみに母プレイガールとフサイチコンコルドは、父がカーリアンで、母の父がサドラーズウェルズという配合も同じだ。

 フィリーズレビュー勝利から桜花賞で大敗し、オークスで巻き返した例は、2013年のメイショウマンボがいる。同馬は桜花賞10着後、9番人気で出走したオークスを快勝。その後、秋にはGⅠ秋華賞(京都・芝2000m)、GⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を勝って「最優秀3歳牝馬」にも輝いている。

 同馬は父がGⅠ天皇賞・春(京都・芝3200m)勝ち馬のスズカマンボで、母の父も有馬記念などGⅠを4勝したグラスワンダーという、中長距離向きの血統だった。ノーワンにもメイショウマンボのような一変に期待したい。

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