奇跡の子メイショウテンゲンの感動話。クラシックで再びドラマを生む

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

2019年クラシック候補たち
第8回:メイショウテンゲン

 3歳クラシックがまもなく開幕する。今年も新たなドラマが生まれるのだろうが、実は本番を前にして、すでに人馬によるひとつのドラマが生まれている。

 主役となったのは、GII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)を制したメイショウテンゲン(牡3歳/父ディープインパクト)である。

力強い走りで弥生賞を制したメイショウテンゲン力強い走りで弥生賞を制したメイショウテンゲン 同馬は、昨年10月にデビュー。3戦目までは2着、2着、3着と、いずれも好走を見せるが、勝ち切るまでには至らなかった。初勝利は、クラシック候補が続々と名乗りを挙げ始めた昨年末。4戦目の2歳未勝利(12月28日/阪神・芝1800m)だった。

 同レースを快勝し、待望の白星をつかむと、メイショウテンゲンは果敢に重賞に挑戦。GIIIきさらぎ賞(2月3日/京都・芝1800m)に出走した。道中は中団からやや後方を追走し、直線での追い上げが期待されたが、結局伸び切れずに5着に終わった。

 その後に挑んだのが、弥生賞である。重馬場となった当日、大外枠に入った同馬は10頭立ての8番人気という低評価に甘んじた。

 しかし、スタートして中団につけると、3コーナー付近から外側をじわじわと上がって、直線入口で先頭争いへ。有力各馬が横に並んで熾烈な叩き合いを演じるなか、坂を上がるとメイショウテンゲンだけが力強く抜け出して、先頭でゴール板を通過した。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る