奇跡の子メイショウテンゲンの感動話。クラシックで再びドラマを生む (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 そうしたバックグランドのある馬とクラシックに向かえることは、厩舎スタッフにとってはこのうえないことだろう。もともと先約があって、池添騎手がGI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)で騎乗できないのは残念だが、弥生賞の勝ち馬として大舞台での活躍も大いに期待される。

 現に弥生賞の勝ちっぷりから、メイショウテンゲンに対する陣営の期待度は上がっているという。先述のトラックマンが続ける。

「母譲りの道悪巧者で、『前走の弥生賞も重馬場を苦にせず、スイスイ進んでいた』とスタッフ。確かにラップを見ると、2レース前に行なわれた古馬1600万下のスピカS(中山・芝1800m)の勝ちタイムに対して、1800mの通過タイムは上回っています。弥生賞は水準の高いレースであったことは間違いなく、もし当日、馬場が少しでも渋れば、かなり楽しみになりますね」

 弥生賞でアッと言わせる走りを見せたメイショウテンゲンが、皐月賞でも再びスタンドの大観衆を驚かすことができるのか。奇跡的に命を取りとめた母から譲り受けたパワーは、クラシックという輝かしい舞台で、さらなる力を発揮するかもしれない。

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