共同通信杯、人気の実績馬2頭を
負かすのは東京コースが合うあの馬だ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
2019年もはや2月に突入。次週、JRAでは今年最初のGIが早くも行なわれます。
その前に今週は、今春のクラシックを占ううえで重要な3歳重賞が2つ開催されます。これまで多くの名牝を生み出している3歳牝馬の重賞、GIIIクイーンC(2月9日/東京・芝1600m)が土曜日に、過去に何頭ものクラシックホースを送り出しているGIII共同通信杯(2月10日/東京・芝1800m)が日曜日に行なわれます。
クラシックの蹄音が聞こえ始め、今年の競馬界もいよいよ盛り上がってきましたね。
さて、例年ほぼフルゲートとなるクイーンCが今年は9頭立て。共同通信杯はさらに少なく、7頭立てで争われることになりました。
ここでは共同通信杯を取り上げたいと思いますが、この少頭数ですから「馬券的に妙味はあるのか?」と、敬遠される方もいらっしゃると思います。しかしこの頭数でも、意外とひと筋縄では決まらないのでないか、という雰囲気を感じています。
実際、先週行なわれた3歳重賞、GIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)も波乱の結果となりました。わずか8頭立てのレースながら、上位人気の実績馬が馬群に沈み、馬連が7460円、3連複が2万3670円、3連単は14万1960円という高配当をつけました。
私もここまで荒れるとは思っていませんでしたが、こうした結果を予想していた方は非常に少なかったのではないでしょうか。やはりこの時期の3歳戦ですから、そこまでの差がないということや、実績のある馬は目標が先にあることなどが影響して、こういう波乱の決着になったと思います。
そして、今週の共同通信杯でも、GI馬アドマイヤマーズ(牡3歳)と、前走でGIII京都2歳S(2018年11月24日/京都・芝2000m)を制したクラージュゲリエ(牡3歳)という実績上位の2頭が人気になるでしょう。
まず、アドマイヤマーズはここまで4戦4勝。負けなしでGI朝日杯フューチュリティS(2018年12月16日/阪神・芝1600m)を制した2歳王者です。
勝った4戦はすべて完勝。着差がわずかなレースでも、その内容はどれも危なげないものばかりでした。とくに前走の朝日杯FSでは、牝馬のグランアレグリアに人気は譲ったものの、結果は力でねじ伏せる強い競馬でした。
しかも、まだ荒削りな面を多々見せており、成長の余地を多分に残しているように見えるのは、大きな魅力。同じ2歳GIのホープフルS(中山・芝2000m)組との力関係は未知数ですが、現時点で世代最上位の実績と能力があることは間違いないでしょう。
1 / 3
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。