素質ある1勝馬が集う京成杯。
一発狙うなら人気急落の「異色の存在」
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
「中央競馬の元日」とも言える1月5日、東西で金杯が行なわれて、今年も中央競馬の幕が開きました。
2週目となる今週は、土曜、日曜、月曜日の3日間開催。そして、それぞれの日に重賞が開催されます。なかでも、月曜日に行なわれるGIII京成杯(1月14日/中山・芝2000m)は、牡馬クラシック第1弾の皐月賞と同じコースで行なわれるため、注目の重賞となります。
同じく中山・芝2000mで行なわれる暮れのホープフルSがGIに格上げされたことで、およそ2週間後に同条件で行なわれる京成杯には、当初「メンバーがそろわないのでは?」という懸念がありました。しかし昨年は、このレースを制したジェネラーレウーノが皐月賞で3着、2着コズミックフォースが日本ダービーで3着に入るなど、クラシックでの好走馬を出して、一定のレースレベルを保っていることを示しました。
GIとはいえ、2歳の暮れに開催されることもあって、1勝馬でも出走可能なホープフルS。それでも、GIに格上げされたことで、それなりにレベルが上がって、実際にレースそのものはハードなものになりました。
ゆえに、たとえ素質はGI級であっても、2歳暮れの時点ではまだ力がつき切っていない成長途上の1勝馬は、無理にGIを使って消耗することを避け、なおかつ2勝以上挙げている馬が少なくなったここへ、格上挑戦となっても挑んでくる――京成杯は、そんな雰囲気のレースになっているように感じます。
そういう意味では今後、GIのホープフルSよりもGIIIの京成杯のほうが逆に、多くのクラシック好走馬を輩出するレースになるかしれません。
さて、今年のメンバーですが、出走予定12頭中9頭がその1勝馬となっています。そして、やはりその1勝馬の中に注目したい馬がそろっています。
まずは、ランフォザローゼス(牡3歳)です。前走の500万特別・葉牡丹賞(2着。2018年12月1日/中山・芝2000m)では、このレースにも出走するシークレットラン(牡3歳)の後塵を拝しましたが、圧倒的な1番人気に支持されたことが、かえってアダとなった典型的なレースだったと思います。
というのも、スタートしてすぐに2番人気の馬に外からかぶされて、内に押し込められてしまったのです。以降の道中も、4番人気の馬に終始ふたをされて、外に出すことができずじまい。さらに、4コーナーを回って直線を向いてからも、今度は勝ち馬に外からまくられて、内に押し込められてしまいました。終始マークされるこの形は、1番人気馬の"宿命"と言えるでしょう。
結局、内の苦しいところ行かざるを得なくなったランフォザローゼス。普通の馬なら、まして新馬を勝ったばかりのキャリア1戦馬ですからね、ここでもう闘志をなくして、大敗してもおかしくありませんでした。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。