高松宮記念の「消しがちな外国馬
ブリザード」が実は弱点を克服した説 (2ページ目)
ただ、昨年のスプリンターズSでは、勝利したレッドファルクスはもちろんのこと、2着のレッツゴードンキ、3着ワンスインナムーンも、ブリザードには先着を果たしている。地の利を考えれば、今回も優位なのは日本調教馬のほう。それでもブリザードを推したくなる理由は何か。
昨年のスプリンターズSをもう一度振り返ろう。実はブリザードは2つの"ミス"があった。
ひとつはスタート難である。スタートのタイミングそのものは他の馬たちと差はないが、どうしても上に伸び上がるようなスタートを切ってしまい、上向きのままスキップするような体勢になってしまうため、出だしの数歩が遅れてしまうのだ。出遅れというよりは出脚の鈍さ。これは、昨年のスプリンターズS前の記事でも懸念を指摘したが、やはり本番でやらかしてしまった。1分ちょっとで勝敗が決する短距離戦において、スタートでのミスは致命的だ。
それでも道中は徐々に馬群の中でポジションを押し上げ、残り600m付近では7番手、レッドファルクスやレッツゴードンキの1、2馬身前に取りついた。実はこれがもうひとつのミスで、前半の200〜400mのラップは10秒8。このレースの6つの各ハロンラップの中で、もっとも速い計時だったのがこの地点で、そこで脚を使って位置取りを押し上げたとなると、後半の伸びに影響を及ぼしてしまう。
結果、直線に向いてジリジリと伸びてはいるものの、直後にいたレッドファルクスやレッツゴードンキのほうが余力を残しており、その差がそのまま終(しま)いの爆発力の差、そして着順として現れることとなった。
とはいえ、2つのミスがありながら、ゴール前でぱったり止まることなく、むしろ猛追を見せて、レッドファルクスには0秒2差まで迫った。さらに、この馬にとって未知の領域だった1分7秒台の決着にも対応。むしろ収穫も多いレースであったといえる。
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