高松宮記念の「消しがちな外国馬ブリザード」が実は弱点を克服した説 (3ページ目)
となれば、スタートの悪癖が解消されれば、もうひとつ上に届くことは想像に難くない。それを示したのが、昨年の香港スプリントでの3着だった。
香港スプリントの直前、管理するリッキー・イゥ調教師にスタートの課題について尋ねたところ、まさしくその点をイゥ調教師としても課題と考えていたことがわかった。
「スプリンターズSは"あれさえなければ"と思わせる走りでした。香港でも毎回ではないのですが、しばしば同じことをやっていたんです。今回、スプリンターズSから帰国して香港スプリントまで、使える状態でもあえて前哨戦は使わず、その点の修正をしてきました」
続く今年1月のGIセンテナリースプリントC(シャティン・芝1200m)では、むしろ好スタートを決めてしまい、2番手で積極的なレースをした分、終いの決め手勝負に屈してしまうほど。完全にスタートの問題が解消された今なら、スプリンターズSの0秒2差を十分逆転できる計算が立つ。来日直前に、ハッピーバレー競馬場で行なったバリアトライアル(実戦式調教)でも、スタートはきっちり決めていた。
昨年12月にイゥ調教師を取材した際、師はこうも言っていた。
「来年の春は高松宮記念を目指します。年明けに1戦して、あとは日本に備える。これはもう、今の時点ですでに決定事項です」
イゥ師にとって高松宮記念は、香港の歴史的スプリンターであったセイクリッドキングダムで遠征を予定しながら、出発間際の空港でセン痛を起こして緊急開腹手術となり断念した過去がある。スプリンターズSは既にウルトラファンタジーで制覇済み。あとはここを勝てば、国外調教師として初の日本の両スプリントGI制覇となる。波乱の嵐とともに偉業達成なるかに注目だ。
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