3年目の藤田菜七子ジョッキーが好調なので、理由を聞きにいってみた (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Sportiva

「女性騎手の年間最多勝ということ自体は、私自身はあまり気にしていなくて、記録そのものにはまったく満足というものはなく、もっと勝っている同期や後輩がいるので、もっともっと勝たなければ、という思いの方が強いです。

 とはいえ、先輩の女性騎手の方々がいて、今の私があるので、先輩に感謝しつつ、最多勝という部分はひとつの通過点として、これはもっと更新していくのが当たり前になるようにしたいです。そのためには、去年より今年、今年よりも来年、どんどん積み重ねていけるようにしていきたいと思います」

――他のインタビューでもよく発言されていますが、「女性騎手としてではなく、ひとりの騎手として」認められたいという思いに繋がるところですね。

「そうですね」

――1年目は久々の女性騎手という扱いが中心でしたが、最近は追える3kg減の騎手のひとりと見られていると思うんです。記録を達成したレースでも、「巧い!」という意味で強く印象に残っています。進路を探りながら、馬も微妙なところでコントロールして抜け出したところに、正直唸らされました。デビュー当時よりも周りがすごく見えているなと思ったんですが、ご自身としてはどうですか?

「そう言ってもらえるとうれしいです。確かにデビュー時と比べると、少しずつレースの中で冷静に周りが見えてきたのかなという実感はあります」

――見えているからこそ、進路取りでもいくつか選択肢を用意して乗れていますよね。

「そうですね」

――昨年のインタビューのときに、「自分の引き出しを増やして、必要な引き出しをとっさに判別して、すぐに開け閉めできるように」というお話をされていました。見ていると、実際にその引き出しも増えて、それに対応するフィジカルも身についたように思えます。

「ありがとうございます。去年もたくさんの馬に乗せていただき、たくさんの経験をさせていただいて、引き出しという面は増えたかなと感じています。フィジカルの部分では、去年の初めからトレーナーをつけて、それより前までは自分だけでやっていたことが、まだまだ足りない中でも、少しずつよくなってきたかな、と思います。具体的な筋肉量とかは測っていないんですけど」

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