一族に活躍馬がズラリ。フランツは「追っても息が乱れない」心肺能力

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

厳選! 2歳馬情報局(2017年版)
第25回:フランツ

 1994年に生まれたグレースアドマイヤという牝馬を知っているだろうか。

 彼女は筋金入りの良血馬である。母バレークイーンに競走実績はないが、祖母は本場イギリスでGI3勝という輝かしい経歴を持つ名牝サンプリンセス。父は1988年の凱旋門賞を制し、日本で種牡馬となってからも大成功を収めていたトニービンなのである。

 しかも1歳上の半兄は、キャリアわずか3戦でGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したフサイチコンコルド(父カーリアン)。「ダービー馬の妹」として、デビュー前から彼女に対する期待が大きかったことは容易に想像できる。

 ただ実際のところ、彼女の現役生活における実績はその期待に応えるまでには至らなかった。GIIで3着、GIIIで2着なるなど一定の能力は示したが、クラシック戦線には乗れず、重賞未勝利のまま引退した。

 だが、繁殖牝馬になると、彼女は周囲の期待どおりの成果を収めた。数多くの活躍馬を世に送り出して、その真価を存分に発揮したのだ。

フランツの叔父リンカーンはGI戦線で活躍していたフランツの叔父リンカーンはGI戦線で活躍していた 2000年に生んだリンカーンは、GIIを3勝。GI制覇こそ果たせなかったものの、菊花賞(京都・芝3000m)、有馬記念(中山・芝2500m)、天皇賞・春(京都・芝3200m)で2着と奮闘するなど、GI戦線の常連として名を馳せた。

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