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「強い馬」なき菊花賞は、
やる気満々のトリコロールブルーに好機到来

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 3歳「牡馬三冠」の最終戦、菊花賞(京都・芝3000m)が10月22日に行なわれます。

 かなり昔から、それこそ僕がジョッキーになった頃も、皐月賞(中山・芝2000m)は「速い馬」、ダービー(東京・芝2400m)は「運のいい馬」、菊花賞は「強い馬」が勝つと言われ、今なおそう言われ続けています。事実、現在の近代競馬でもその傾向は残っているように思います。

 昨年も、菊花賞前に「速い馬はディーマジェスティ、運のある馬はマカヒキといった印象で、強い馬というイメージがあるのはサトノダイヤモンド」(※2016年10月22日配信『「2強で堅い」菊花賞。3連単のヒモ穴なら、堀厩舎のウムブルフ』)と記させていただきましたが、そのとおりの結末になりました。

 そして、その昨年の勝ち馬サトノダイヤモンド、一昨年の覇者キタサンブラックと、「強い馬が勝つ」と言われる菊花賞を制した馬は、のちに日本を代表する名馬となっていきました。それ以前にも、エピファネイア(2013年)、ゴールドシップ(2012年)、オルフェーヴル(2011年)など、菊花賞馬はその後もビッグレースで活躍。数々のGIタイトルを手にした名馬ばかりです。

 逆にダービー馬でそれ以降のGIを勝ったことのある馬は、2011年のオルフェーヴルまで遡(さかのぼ)らなければいけません。そう思うと、やはりダービーは"運"がモノを言うレースなのでしょう。

 皐月賞馬は、ロゴタイプなど、その後も結果を出している馬はいますが、「速い馬」と言われるとおり、マイラーっぽい馬が多い印象があります。ディーマジェスティも、今後はマイル路線を歩んでいくかもしれませんね。

 では、今年はどうか?

 皐月賞馬アルアインは、やはり「速い」イメージがあります。現にマイル戦で2勝しています。血統的にも、母親は短距離指向が強いようです。

 とはいえ、アルアインには過去に皐月賞と菊花賞の二冠を制した「強い馬」に近いイメージもあります。何か血の枠を超えた身体能力を秘めていそうな雰囲気を、皐月賞の勝ち方からも感じました。もしここも勝つようなら今後、スターホースになっていくのではないでしょうか。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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