名手モレイラが魔法。マウントロブソンが札幌記念で「大化け」する

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 早いもので「夏競馬」の新潟、小倉、札幌開催は前半戦が終了し、この週末からは後半戦に突入します。世間的には、お盆も過ぎて、じわじわと秋の訪れも感じるようになりますね。

 今週は、そんな秋の大舞台に向けて、スターホースが始動戦として出走することも多い札幌記念(8月20日/札幌・芝2000m)が行なわれます。

 1997年から別定のGIIとなり、その年に勝ったエアグルーヴはここをステップにして天皇賞・秋(東京・芝2000m)を制しました。以来、ここから秋の大一番へ直行する馬が増え、古馬だけでなく3歳馬にとっても、秋の重賞戦線へのステップレースとして確立されてきました。毎年GI級の馬が出走し、夏のローカル開催では唯一のGII競走ということもあって、「夏競馬」最大のビッグレースという位置づけにあります。

 ただ、今年は出走予定だったネオリアリズムが回避して、GI馬がいなくなってしまいました。GI馬が1頭も出走しないのは、アドマイヤムーンが勝った2006年以来ですね。少し残念ではありますが、それでも全体的にはいいメンバーが揃ったと思います。秋へ向けて、楽しみな一戦です。

 まず、中心視されるのは、エアスピネル(牡4歳)でしょうか。昨年のクラシック三冠で皐月賞4着、ダービー4着、菊花賞3着という結果を残し、今年に入ってからはマイル戦線で奮闘してきました。ハイレベルな世代のクラシック戦線において、常に上位を争ってきた能力は、並みの重賞なら間違いなく勝ち負けできる存在です。

 今回は久しぶりの2000m戦になりますが、折り合いに苦労するタイプではないですから、問題はないでしょう。実際、春の東京新聞杯(2月5日/東京・芝1600m)では、マイル戦とは思えないような緩いペースでも、まったく問題なく折り合っていました。

 同レースでは決め手の差で3着に敗れていますが、その先のことを考えれば、末脚勝負に徹したことは好騎乗だったと思います。早めに急かしていけば勝っていたかもしれませんが、もしそんな競馬をしたら、それ以降のレースで引っ掛かって、折り合いに苦労するようになっていた可能性もありますからね。そういう危ういところを持っている馬だと思います。

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