札幌記念は、吉田隼人騎乗の
ヌーヴォレコルトに打倒モーリスを託す
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
先週の関屋記念では、「ヒモ穴馬」に取り上げたダノンリバティ(7番人気)が見事2着に入線(※8月13日配信「差し馬優位の関屋記念。狙うは、前走で痛恨ミスのダノンリバティ」)。今後もこの調子で、魅力的な穴馬をピックアップしていきたいと思います。
さて、今週の重賞は「夏のGI」とも言えるGII札幌記念(8月21日/札幌・芝2000m)。ハープスターとゴールドシップのマッチレースに沸いた一昨年をはじめ、例年頭数は少ないながらもGI級のトップホースが参戦し、夏の札幌を盛り上げてくれる一戦です。
そして今年、話題の中心となっているのは、昨年の年度代表馬であるモーリス(牡5歳)です。ただ、これまでに手にしてきたGIタイトルはすべてマイル戦。それだけに、ちょっと異色な感じがしますね。
3歳時には2200mの京都新聞杯を使っているものの、当時も元気いっぱいで、ややかかり気味の競馬でした。結果、7着に終わっています。
今回は、それ以来となる中距離戦。たぶん、みなさんも思っているとおり、「はたして、折り合うのか?」という点が、レースの焦点になりそうです。もちろん、折り合いさえつけば、能力的にはアッサリでしょう。
では、実際に折り合えるのかどうか。
前走の安田記念(2着。6月5日/東京・芝1600m)では、見ていてもわかるくらい、道中抑えるのに苦労していました。結果的に折り合いを気にするあまり、前を行く馬を残す結果になってしまいました。展開のアヤには違いありませんが、自らそのアヤを作ってしまった、という印象がありますね。
そういう意味では、そこから400m距離が延びる今回、折り合い面への不安はさらに膨らみます。
とはいえ、2000mという距離をこなせるか、ということに関しては、東京や中山とは違って小回り平坦コースの札幌ですから、それほど心配はしていません。第一、昨春には中山の1800m戦で圧勝しています。中山・芝1800mは、札幌と同じコーナー4つの、オーバルコース。そこで折り合って、差し切る競馬ができたのですから、同じ競馬ができれば問題ないでしょう。
要するに、最近の競馬では好位で必死に折り合いをつけているシーンが目立ち、そういう競馬が続いているので、不安に思うだけです。思い切った競馬ができれば、他の馬とは脚力が違うと思います。
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著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。