安田記念はモーリス不動も、ルメールの7歳馬フィエロに要注意

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 東京開催5週連続GIのトリを飾る安田記念(芝1600m)が6月5日に行なわれます。

 GI5週連続開催の中で、芝のマイル戦は今回の安田記念を含めて3鞍ありました(他はNHKマイルC、ヴィクトリアマイル)。同じ舞台でGIを3つ以上開催するのは他に、オークス、ダービー、ジャパンカップが行なわれる東京・芝2400と、桜花賞、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティSが行なわれる阪神・芝1600mだけ。それらのコースは、それだけ実力勝負が期待でき、紛れの少ない"メジャーなコース"と言えるでしょう。

 さて、今年の安田記念。主役は何といってもモーリス(牡5歳)でしょう。昨年1月の1000万条件から怒涛の7連勝。しかも、もっかGI4連勝中と向かうところ敵なしです。前年の優勝馬でもありますが、今のモーリスは当時よりもさらに迫力が増していますね。

 昨秋のマイルCS(2015年11月22日/京都・芝1600m)では、安田記念(2015年6月7日)を勝ったあと休養に入り、それ以来となるぶっつけの参戦でした。そのうえ、決して有利とは言えない8枠16番枠からのスタートで、終始外目を回されていました。それでも、直線に入って仕掛けられると、鋭く反応して突き抜けていきました。それまでも驚異的な脚力を見せていましたが、エンジンがよりパワーアップしたように感じましたね。

 その後、昨年暮れの香港マイル(2015年12月13日/香港・芝1600m)でも、"アウェー"での戦いをものともせずに圧巻のパフォーマンスを披露。まさしく「化けた!」――そんな言葉がしっくりくるレースぶりでした。

 この2戦で鞍上を務めたのは、ライアン・ムーア騎手。彼が乗ると"化ける"馬が多いような気がします。やはり、世界の1位、2位を争う名ジョッキー。馬の"スイッチ"の入れ方、そのコツを知っているんでしょうね。

 今回、手綱を取るのは、初騎乗となるトミー・ベリー騎手。まだ日本での騎乗経験は浅く、日本での重賞勝ちもありません。とはいえ、東京のマイルではとにかくスタートしてからの直線が長く、ポジション争いはそれほど激しくありません。思いどおりの位置が取りやすく、その分、ジョッキーにかかるプレッシャーは少なくなります。海外ではGI勝ちがあり、特にレベルの高い香港でも勝っていますから、断然の1番人気という立場を背負うことになっても、問題はないでしょう。

 唯一懸念されるのは、今回のモーリスは海外遠征帰りのため、検疫検査を兼ねて東京競馬場で調整されていること。これは仕方のないことですが、慣れた美浦トレセンではなく、慣れない場所で調整された結果がどう出るか、若干不安はありますね。

 このモーリスが普通の状態であれば、ライバルになる馬は見当たりません。それでも次点候補を挙げるなら、リアルスティール(牡4歳)とサトノアラジン(牡5歳)です。

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