マカヒキがダービー戴冠も「最強世代」の戦いは凱旋門賞へと続く (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Kyodo News

 写真判定を待つ間、冷静に努めていたのは管理する友道康夫調教師もそうだった。地下検量室前、1着馬が入るボックスの前で待つ馬主の金子真人オーナーに「まだですから」と諭すように振る舞っていたが、何より自分に対して逸(はや)る気持ちを抑えていたに違いない。判定結果が出るや、小走りに金子のもとへ駆け寄り「出ました! やりました!」と声をあげた。

「ゴール前は久々に声が出ました。周りから勝ったと言われましたが、写真判定が出るまでは半信半疑で。結果が出て、オーナーと握手したときは感動しました」
 
 2009年には皐月賞馬アンライバルドで挑みながら12着に敗れ1番人気を裏切った。それだけに、勝つことの難しさを理解していた。全姉が短距離路線で活躍するウリウリで、皐月賞後もささやかれた距離への不安も意に介さず、100%の状態で送り出すことだけに注力した。

「弥生賞の後よりも消耗が少なく、スムーズに調整でき、これで負けたらしょうがない、という状態に持ってこれました。血統は短い距離向きなのかもしれませんが、この馬自身はものすごい落ち着きのある馬で、そういった心配はあまりなかったです。馬房でもよく寝てるし、皐月賞のときも昼ぐらいまで馬房で寝ていました。今日も初めてのコースでしたが全然落ち着いていました。今までに見たことがないほど、オンとオフがはっきりしている馬ですね」
 
 環境に動じず、血統を凌駕する3歳離れした精神力。となれば広がるのが世界への展望だ。すでに今年の凱旋門賞への登録は済ませている。

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