マカヒキがダービー戴冠も「最強世代」の戦いは凱旋門賞へと続く (2ページ目)
「ゴールの瞬間、負けたのが分かったので、カワダサンにオメデトウと言った」(ルメール)
「ゴールの瞬間は正直勝ったとは思いました」(川田)
2頭の攻防は写真判定へと持ち込まれたが、手綱を取る2人の名手はそれを待たずとも、勝負の行方を感じ取っていた。しかし、ほどなくして、着順掲示板の1着にマカヒキ、2着にサトノダイヤモンドの馬番が表示されると、2人はともに対照的な表情を見せながら天を仰いだ。
「完璧でした。リラックスして、直線の反応もよかったんですが、......悔しいね」
そう語るルメールが、負けたと思っていながら、このときは自分の感覚が間違いであることに一縷の望みを託していたのは、着順が表示された瞬間に見せた表情からも明らかだった。マカヒキは弥生賞までは自身が手綱を取っていた馬。だからこそ強さは理解しているし、なおのことこの大一番では負けたくなかったという思いも強い。
他方、川田はダートコース上で天をしばらく見上げた後、口元をゆがませながら、跨るマカヒキの首筋に体を寄せて、二度三度と右手をあてて相棒の走りをねぎらった。
「ただただ、感極まりました」
どんなときも、冷静な物腰で受け答えをする川田でも、10度目の挑戦でダービーを勝ったことに、あふれる感情を抑えることはできなかった。
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